父のこだわりを取り入れた住宅リフォーム

私の実家は街ではなく、町にあって、北本市のガレージハウス付きのその家を建てたのは、もう30年以上も前のことです。当時、父親は現役バリバリの営業マンでした。家を建てるために一生懸命働いて、私が中学生のとき、一戸建ての注文住宅を建てました。

一本の太い梁を使った木造の家が父の自慢でした。部屋のほとんどが和室です。子供部屋も和室でした。畳の部屋に、かわいいランプとカーテンがミスマッチだったことを子供ながらに思っていました。

鉄筋コンクリートが流行り始めた頃でした。建築会社から色々な選択肢を紹介されましたが、父は自分の思いを譲らず、一環として、木造家屋の数寄屋造りでした。風通りもよく、人の出入りもしやすい、居心地のよい家ではありましたが、歳を重ねて、段差が気になるようになってきました。

私は、建築や内装に興味がとてもあるので、両親とリフォーム前によく話をしました。昔ながらの作りですので、玄関は大きく、家の真ん中に廊下があって、廊下の両側に部屋が並んでいます。幸い、和室は引き戸ですので、それは、高齢者が住むには戸の開け閉めにスペースと取らず、良い作りだと思います。問題は廊下でした。父は、どうしても数寄屋作りの雰囲気を壊すことを好まず、決めた手段が廊下にも畳を敷くということでした。

畳の縁は気になるものの雰囲気を壊すことなく、リフォームできたと思います。全部をフラットに継ぎ目なくする板張りのリフォームが一番安全なのでしょう。でも、気持ちよく住むには、住む人の気持ちを組み入れることが大切です。そういう意味では、良い折衷案なリフォームができて良かったと思っています。